本格的推理小説、エログロと退廃、そして少年探偵団シリーズで知られる江戸川乱歩が没してから50年になります。その記念企画として、2015年には『乱歩奇譚 Game of Laplace』というアニメが放映されましたが、個人的には、乱歩物ではもっとおすすめの漫画があります。それが『江戸川乱歩異人館』です。
現代的な絵柄と小説のイメージの取り合わせ
『江戸川乱歩異人館』は、現代的な絵柄で、乱歩の短編と長編をバランスよく織り交ぜて漫画化しています。
屋根裏の散歩者、人間椅子、黒蜥蜴、押絵と旅する男、吸血鬼、人でなしの恋、魔術師、赤い部屋、鏡地獄、蜘蛛男、防空壕、石榴、陰獣、孤島の鬼……
小説の時点で人気が高く、絵に描いたら読者のイメージを壊してしまいそうな作品を、実にうまく漫画化しています。漫画家歴の長い山口譲司の本領発揮と言えるでしょう。
漫画としての構成のうまさ
また、漫画として構成する際に、原作をリスペクトしながらも大胆な改変を加えているのも特徴です。作品にもよりますが、オチをもっと意外に変えたり、関係無かったはずの短編の登場人物を共通の人物にして連続性をもたせたり、怪人20面相、明智小五郎、小林少年を意外な作品のオチに登場させたりしていて、原作を読んだことがある人でも楽しめる仕掛けになっています。そういう意味で個人的におすすめなのは、人間椅子、人でなしの恋、黒蜥蜴、灰神楽、赤い部屋です。
魅力的なヒロインたち
江戸川乱歩の作品には様々なヒロインが出てきますが、『江戸川乱歩異人館』に出てくる女の子たちは、みな可愛くてエロティックなのがポイントです。やはり『おしとね天膳』というお色気漫画を描いたことのある、山口譲司の本領発揮と言えるでしょう。特に黒蜥蜴の妖艶さはたまりません。のちに明智小五郎の妻となる文代さんも、とても可愛いです。
昭和初期のファッションの妙
また、登場人物のファッションがみな素敵でお洒落です。現代的な絵柄でありながら、昭和初期の原作の雰囲気を壊すことなく、当時の最先端を取り込んでいます。それでいて、乱歩のもう一つの売りであるグロもしっかり描かれています。いわゆる「切り株系」を避けることなく、濃密に描き込んでいます。
表紙デザインのドクロ
個人的には、表紙に毎回妖艶な美女が描かれていると見せかけて、必ずドクロが隠されているデザインなのもポイントです。まるで『この漫画はエログロです』と宣言しているかのような表紙です。
まとめ
『江戸川乱歩異人館』は、原作に大胆な改変を加えつつも、原作をリスペクトし、漫画としてうまく仕上がっている作品です。
全13巻とやや長めですが、まずは1巻だけ試しても損はありません。Kindle版も販売されています。ぜひお手にとって(あるいはダウンロードして)みてください。
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