想像力をかきたてられるラジオ。学生時代にラジオを聴きながら勉強をしたという方も少なくないとおもいます。インターネットを介してラジオを聴けるようになった現代、ラジオの聴取率が上がりつつあります。
ラジオが復権をしつつあります
毎日あふれる情報をサッと入手するのに、多くはネット(スマホやパソコンを介して)を情報源としています。
「信用できる情報はやはり新聞」「難しい内容は解説者のいるテレビがいい」という支持もありますが、短時間で、知りたい情報をたくさん吸収するならネットがダントツなのは頷けます。
しかし正直なところ、新ネタを追いかけ、情報シャワーを浴び続けるのに疲れませんか?
またスマホやパソコンへの依存は、ゲーム、SNS、音楽へと際限がなく、ひたすら「好きな狭い世界にだけどっぷり」になりがちで、世の中の動きや世界情勢といった周りを知らず生活してしまうことに。
目や心といったカラダへの負荷を減らしながら、ためになる情報を得られればそれにこしたことはありません。
実はその答え、意外にも身近にあったのです。それは「ラジオ」。テレビのない時代から存在する息の長いメディアで、「そろそろ消える?」と思われた時期もありましたが、スマホやパソコンで聞ける「radiko(ラジコ)」の登場で再び注目を集めています。
ではラジオのある生活に、どのようなベネフィットが生まれるのか、『ラジ活』の一例をご紹介します。
家族世帯にラジオがある生活を
「朝、子どもを起こすのが大変」なのはいつの時代も同じ。特に共働き家庭だと朝からトップギアを入れて支度をし、保育園に預ける子どもも大人と同じように行動しなければなりません。
少しでも機嫌良く起きてもらおうと、朝から賑やかなテレビ番組や好きな録画をつけたいのは親心。ところが画面に釘付けで、結局は追い立てたり叱ったりのBADパターンに陥りがちです。
そもそも幼児期は、自由気ままさから時間通りに動くことへの「慣らしの時期」。サクサク、テキパキ、動けなくて当然なのです。こうした子どものいるご家庭でのあるあるジレンマに『ラジ活』はうってつけです。
ラジオをつけることに専念。あえて、朝からテレビをつけない
人間の五感のうち、情報を得るのに大活躍なのが視覚。なんと87%もの情報を目からインプットしていると言われます。そして子どもは小さいほど、内容の面白さより「視覚的な刺激」でテレビに惹き込まれるという説も。
「このコーナーを見たら終わり」と約束させても、ずるずる見続ける一因がコレです。
まずは食卓で、少し大きめの音量でラジオを流してみましょう。テレビのない寂しさを紛らわし、視覚は子どもが好きな朝食メニューで惹きつけます。
ちなみに聴覚7%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚は驚きの1%と数値は低めですが、脳の働き次第でこの配分は変わります。視覚への刺激を抑えれば、他の感覚が自然と活発に。また音楽や匂いは感情や記憶(思い出)と結びつきやすく、情緒や情操の育成にも役立つと言われています。
ラジオを聴きながら、「ながら作業」で無駄なく
テレビだと、衝撃的なニュースが飛び込むと思わず見入ってしまうもの。たった数分でも、慌ただしい朝に手が止まるのは痛恨のミスで、余裕なく出かけては事故などのリスクが高まります。
ラジ活であれば、聞き流しつつ家事や支度をこなせ、偶然胸を痛めるニュースに遭遇しても映像がない分ブルーな気分を和らげることができます。
ラジオは身近なことも世界のことも、触れられる
重大なニュースは知っておかなければと思いつつも「新聞を開く、ネットを繋ぐ」などして、情報を「収集」に行かねばなりません。ところがラジオは耳で受信するだけで、最新ニュース、公共交通機関、天気予報などが簡潔な言い回しで自動的に入ってきます。
「耳にさえ残っていれば」、気になる事柄はあとで詳しく調べられ、時間を一層合理的に使えます。
時報の分からない子どもには、ジングル
ラジオの朝は時報が細かく差し込まれるので、時計を見る手間が省けます。しかし子どもの場合、時間を聞いて
- 「あと何分」
- 「今日は遅れ気味」
- 「急ごう」
と行動に移せないので、コーナーのジングルを目印にしてあげます。「この音が聞こえたら○○をする」と決めておくと、ルーティーンでこなすうち全ジングルを自然に覚え、次かかる音を予測できてくれば自ら支度するようになります。
ラジオ番組のパーソナリティーに親近感
多くは生放送なので支度をしながら屋外の様子を耳で触れ、天気や四季をパーソナリティーと共有できる楽しさがあります。子どもに
- 「○○さんが今日も一日頑張りましょうと言ってるよ」
- 「傘持って、と話してたね」
と声掛けすると、子どもも親近感を覚えて聞き耳を立てるように。大人の代わりに
- 「電車が遅れるニュースあったよ」
- 「夕方は風が強いって」
と中継してくれたり、「今日○○さん誕生日だって。ママと一緒!」といったサプライズに遭遇することもあります。
社会人の世帯にラジオがある生活を
ファミリーでの『ラジ活』は、もちろん社会人にも有効です。特に新入社員や一人暮らしを始めた方は、慣れない生活にストレスを感じ、一日過ごすだけで全エネルギーを消耗しがちです。
真面目でやる気に溢れている人ほど、五月病に襲われ、辞めたいと自分を追い詰めてしまうことにも。
今まで以上に調べ事でネットを活用し、気晴らしついでに一層過剰となるチェーンビューイング。こうした疲弊の悪循環から距離を置くのに、受け身で良い『ラジ活』を生活に取り入れてみてください。
特に朝の番組は決まったコーナーがあり、合わせて行動するだけで生活にリズムが生まれます。社会人に必要な情報は、自然と耳に入ってくるのでプールする感覚で。
そして職場やお得意先との会話が「今日は暑いですね」と当たり障りないものから、「今朝のニュースびっくりしました」と会話に繋がるネタ振りができるので、「コミュニケーション上手」と評価されるかもしれません。
政治、経済、世界情勢を、話し言葉でインプット
若い世代で顕著なのが、言葉を短縮することに慣れ過ぎて「長いワードを読めない、覚えきれない」というネック。便利なネットニュースであっても、漢字やカタカナが長々表記されると読み込みが厳しいようです。
特に社会派ニュースは
- 名称
- 組織
- 団体
- 活動
- 法律
- 制令
- 条約
などの表記がそもそも難しく、文字を見た瞬間、覚えるのは無理と諦めてしまうケースも。
ラジオであれば、まず正しく読み上げ、よく使われる略称や略語は補足してくれます。聞くことは、大脳辺縁系を活発にさせて「やる気」を促すと言われるので、苦手が先立つ場合は見て覚えるより、聞いて覚える方がスムーズでしょう。
ラジオは音だけで伝えるから、バラエティに富む
テレビであれば2〜3時間番組はスペシャル扱いですが、ラジオでは定番のボリュームで、平日朝は帯番組が多く占めています。
枠内の構成として、短いもので1分、あるいは20分前後のコーナーを複数設け、合間に音楽をサンドしながら、2時間や3時間といった長丁場でも退屈させない仕掛けが豊富です。
映像で紹介できなくても、グルメ、アート、風景、ファッション、メイク、アミューズメント、新名所であっても、言葉を駆使した原稿とパーソナリティーのリアクションで伝える大らかさがあります。
映像や画像がない方がむしろ「見てみたい」「気になる」の熱が上がるという声も。ただ現在多くの番組は、公式HPやTwitterなどでビジュアルを補完しています。
ラジオは語彙が豊かになり、正しい発音で覚えられる
ラジオの言葉力はぜひ教科書にしたいもの。ニュースは映像で伝達できない分、単語や熟語のチョイスが的確で、誤解のないキレの良い言い回しで無駄がありません。番組によってはバイリンガルなパーソナリティーを起用し、日本語と外国語のミックスで放送。
耳にはちょっとした語学レッスンになります。正しいイントネーションや敬語を耳に蓄積させれば、仕事や面接などの大事な局面ほど「言葉の引き出し」で対応できます。
特に生番組のパーソナリティーは即興に強く、見習いたい技がたくさん。『ラジ活』は聞くだけでもフリートークの力を鍛えられます。
発見や話題の元となる、ゲストコメンテーター
テレビと比べ、マニアックな話題をさりなく差し込めるのがラジオです。たとえ顔が知られていなくても、話し上手な専門家や関係者をゲストとして招き、政治、経済、研究、クリエイティブなどの小難しい話を楽しい番組に仕立てられます。
顔バレNGの漫画家やエッセイスト、NPO団体の代表者やその地域だけの有名人、テレビならモザイクをかける一般人(有名企業のサラリーマン、中高生、幼児など)やマイノリティーの方も、「声だけならOK」と好感触で、結果テレビより「濃い情報や素材」が扱われやすい傾向にあります。
そのせいかラジオ情報は、人気まとめサイトやキュレーターの貴重なソースとされています。
学生にラジオがある生活の場合
『ラジ活』のベネフィットで、やはり最大の魅力と言えば「娯楽性」でしょう。公共のオープンなメディアでありながら、パーソナリティーと1対1という密室感覚で楽しめるラジオ。
- フリートーク
- 対談
- 音楽
- 弾き語りライブ
- ラジオドラマ(声の芝居)
- 朗読
- 人生相談
- リサーチ
- 生中継
など、放送を聞くうちにイマジネーションも自然と活性化されます。
なかでも本音の解放時間と呼ばれる深夜帯は、昔も今も熱心なリスナーが番組を支え、メール、SNS、ハガキによるコミュニケーションも活発です。
番組によっては「常連リスナー」「メール(ハガキ)職人」が誕生し、のちに放送作家やディレクターになったという強者リスナーもいます。
好きなラジオパーソナリティーの声に癒やされる
友人や恋人同士に電話は欠かせないツールでしたが、今や「かけていいかタイミングが分からない」と、ビジネスや緊急時以外は遠慮する傾向にあり、主流はSNSやメールでの「活字対話」だそうです。
ところがラジオに触れると、声や音楽といった「好きな音」に浸れることは「幸せ」だと思い出させてくれます。そして不思議なことに、ぬくもりや包容力を感じることも。
パーソナリティーにとっても「見られていない」ことが緊張を和らげ、自身の冠番組であれば進行や時間配分に融通が利き、テレビよりも素に近いコンディションで話せるようです。
腹の底から笑い、時には弱音を吐き、リスナーの悩みに寄り添い、そして「また今度」とラジオで約束を交わす。そして何より「好きな相手の喜怒哀楽が混ざった声を聞く」ことは、リスナーにはこの上ない贅沢なひとときでしょう。
等身大のエピソードに、活力がわいてくる
民放ラジオは現在、FMとAMで100局前後をキープ。パーソナリティーが、アナウンサーやDJだけではカバーしきれません。
- 文化人
- クリエイター
- 作家
- ジャーナリスト
- レポーター
- ライター
- 評論家
- 噺家
- 役者
- 音楽家
- アイドル
- インディーズ
- お笑い芸人
- 声優
- アスリート
- ローカル著名人
などパーソナリティーの多彩さはラジオの特徴のひとつです。お目当ての番組だけでなく、前後時間も聞くと新しい発見があるでしょう。
そしてラジオは10年20年と言った長寿番組が多く、
- 毒蝮三太夫
- 高田文夫
- 松任谷由実
- 伊集院光
などの顔ぶれは、安定の聴取率をマーク。またイケメン俳優、アイドルグループ、人気バンドなどフレッシュな面々もバランスよく交えて、番組欄を飾る名前は実に煌びやかです。
イヤホンであれば周囲に何を聞いているか知られないので、人の目を気にせず趣味に没頭でき、活力をチャージできます。
パーソナリティーを通じて、世界が、未来が、拓けていく
ラジオ番組はディレクターと構成作家が大筋を設定し、パーソナリティーやリスナーの反応をその場その場で織り込みながら、番組を形づくっていきます。
フリートークではパーソナリティーが近況を語ったり、趣味趣向を熱く説いたり、本業以外の社会活動やサイドビジネスをお知らせするなど「テレビで知る以外の顔」や「人となり」に触れられます。
また時に、ジム仲間、フットサルのメンバー、飲み友達、といった親好の深いゲストを招いて、プライベートの様子を垣間見せてくれます。「意外な人脈」「会話が別人」「リスナーそっちのけで楽しい」などシナリオにない面白さに立ち会えるのもラジオの魅力です。
ラジオで育った有名人の言葉
去る2017年3月20日、民放ラジオ101局特別番組として「WE LOVE RADIO! 山下達郎・星野源のラジオ放談」が全国民放ラジオ101局にて大々的に放送されました。
この番組で初共演となったお二人。日本を代表するシンガーソングライターというだけでなく、子どもの頃から「ラジオを愛して止まない」ことから大抜擢された模様。自身のラジオ番組をもっているだけでなく、
- 「一人っ子」
- 「実家が街のお店屋さん」
- 「若い頃からバンドをやっていた」
など、世代は親子ほど違うのに共通部分が多く、初共演とは思えないほどトークは弾みました。
1時間の番組があっという間に感じられ、そしてまだまだ話し足りない余韻をたっぷり残したまま締めくくられた「WE LOVE RADIO!」。
山下達郎さんと星野源さんが、ラジオと共にいかなる人生を歩み、ラジオ愛を育んできたのか。想いは全国101局リスナーに向けて楽しく語られ、そして終盤にはそれぞれの言葉でラジオへの想いをまとめられました。
その一部を以下にご紹介します。
山下達郎さん
「ラジオはもう滅びるんじゃないか?という時代が随分長かったんですが、最近はネットとかの発展でラジオが昔みたいに、手軽にどこででも聞ける、そういうのが復活しつつある。
それが本来のラジオの利点だったので、特に音楽、僕みたいな音楽をやってる人間には、音楽とラジオは不可分なんですよね。
ラジオの方が本当は音楽を発信する能力が高くなきゃいけないんだけど、実際アメリカとかヨーロッパはまだそのポテンシャルを持っているけど、日本はそれがすごく衰退した時代があって……。
それがまた(特別番組のような)こういう機会で回復できればなという期待がすごく大きいです。ラジオをよろしくお願いします。」
星野源さん
「(ラジオは)聞いて頂けると、本当に色んな世界が広がると思います。僕はラジオによって人生が変わりましたし、ラジオによって命が救われたような気もしております。まあ思春期だった、というのもあって。
ラジオっていうのは本当に人の命が救えるメディアだと思ってます。
あと、人の人生を面白くできるメディアだと思っているので、それだけ(パーソナリティーとして)責任感もあるとは思うんですけど、これからも自分が面白いなと思う音楽とか面白いことをやっていけたらと思うので、星野源の番組だけではなく、色んな番組があるので是非これからも聞いて頂きたらと思っております」
最後に
ラジカセやコンポといったオーディオ機器で聞いていたラジオ番組が、「radiko(ラジコ)」の登場で、「いつでもどこででも聞けて、手軽に持ち運べる」今の時代にフィットしたスタイルで返り咲きました。
しかも「ライブ」「放送後1週間まで聞けるタイムフリー(放送で流れた音楽も聞ける)」「プレミアム会員だけのエリアフリー(居住区以外の日本全国の放送も聞ける)」は、ラジオフリークにとって念願の機能です。
ただしタイムフリーは一度再生すると3時間までしか聞けません。たとえ一時停止や視聴を中断しても3時間経過で終了なので要注意。また深夜帯の放送は、テンションが高めでお色気ネタもお約束なので、通勤・通学で聞く際は、くれぐれも顔には出ないよう気をつけましょう。
ちなみにNHKの放送は「らじる★らじる」で聞くことができます(一部利用できない機種あり)。語学レッスン番組が多いので、移動時間を『学びのラジ活』にされたい方にはオススメです。
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